テレワークの機会が増え、自宅以外での仕事の環境構築を考えられている方も多いのではないでしょうか。
自宅以外で、ということになると問題になるのがパソコンの電源の確保。
ワーケーションという言葉も作られ、旅行を兼ねて出掛けた先のホテルや旅館、ペンションなどで仕事をするというスタイルもあります。
ホテルなどは当然電源も無線LANもあり、大きな不自由は無いと思います。
では仮に、電源の無いキャンプ場で仕事をしたい場合、バンライフなど車の中で仕事をしたい場合はどうでしょうか?
どうにかしてパソコン用の電源とインターネットの環境を自身で整える必要があります。
この記事では「働く場所」の選択肢が広がる、モバイルバッテリーの選び方を下記の内容で紹介しています。
パソコン用のモバイルバッテリーの購入を検討されている方の後押しになれば幸いです。
このページの内容
屋外での電源確保にパソコン用のモバイルバッテリーという選択肢
まず、電源の確保に関して言うと、パソコン用のモバイルバッテリーを準備すれば解決します。
今ではアウトドアブームで「ポータブル電源」も数多く販売され始めているため、それを購入するのも一つですが、ネックになるのはその価格。それなりの容量のもので考えると、およそ5万円程度から、という価格帯のものが多いように思います。
ポータブル電源で有名なのがこちらのPower ArQですね。
アウトドアのスタイルにもマッチするデザインで、これはこれで非常に良い商品だと思います。
でもそこまでの出費は避けたい、ノートパソコンが1回フルで充電できれば良い、と考える方にお勧めなのがパソコン用のモバイルバッテリーです。
「パソコン用」といってもパソコン専用ではなく、パソコンの充電にも対応出来るもの、といった意味合いになります。
自身が実際に購入した経験をもとに、選び方を紹介したいと思います。
ノートパソコンの必要電力を確認する
ノートパソコン本体の裏側やACアダプタを確認すると、必要な電力が記載されています。
例えばこんな感じです。
INPUT と表記された横に記載されているV(ボルト)とA(アンペア)を掛けると、必要なW(ワット)が分かります。
上記の例だと、19.5×2.31=45.045、もしくは20×2.25=45となるので、このパソコンを動かすには45Wの電力が必要ということになります。
この数字を目安に、対応しているモバイルバッテリーを探していきます。
普段スマホの充電でモバイルバッテリーを使われている方も多いと思いますが、スマホ用などとして販売されているものは、パソコンに対しては電力が足りないことがほとんどです。
モバイルバッテリーにコンセントの差込口は必要?
電力の供給にはACアダプターが必要なんだし、モバイルバッテリー側にコンセントの差込口が無いとダメなんじゃないの?と考える方も多いのではないでしょうか。
数あるモバイルバッテリーの中にはコンセントの差込口が設けられているものもあるので、そういったタイプの製品を選ぶのも一つです。
かくいう自分も、パソコン用のモバイルバッテリーを探し始めた頃はコンセントの差込口が設けられたバッテリーを買うしかないという頭になっていたため、その目線でしかバッテリーを探せていませんでした。
しかし、今回調べていく中で知ることになったある規格があるのですが、これには感動すら覚えました。それがこちらの内容↓
USB Power Deliveryという画期的なテクノロジー
今回、自身がパソコン用のモバイルバッテリーを探しているときに初めて知ったのが、このUSB Power Deliveryというテクノロジー。
USB Power Deliveryというのは、コネクタの形状はUSBのtype-Cで、最大100Wの電力を送ることが可能な電源供給の規格です。
USB Power Deliveryに対応したものであれば、専用アダプターを経由したコンセントからの充電や、モバイルバッテリーからの電源供給が可能です。
ノートパソコンの側面にUSBやHDMI、LANケーブルの差込口など様々なコネクタが並んでいると思いますが、下記の写真の真ん中にあるポートのマークがUSB Power Deliveryに対応したUSB type-Cポートです。
このマークのコネクタがあればUSB Power Deliveryに対応していますので、対応したモバイルバッテリーによる充電が可能です。(ノートパソコンのメーカーにより様々なアイコンがあるようですので、確実な情報を知りたい場合にはメーカーに問い合わせをしてみてください。)
今回実際に購入したお勧めのパソコン用モバイルバッテリーはこちら
Anker PowerCore III Elite 25600 60W with PowerPort III 65W Pod
パッケージの内容はこのような感じです↓
バッテリー本体に加え、USB type-Cケーブル、急速充電器、トラベルポーチが同梱されています。
急速充電器(写真下部、白色の物体)はコンセントに差して使うものと分かりやすいように、あえてコンセント部分を出した状態で撮影しています。コンセント部分はもちろん本体に折りたたんで収納可能です。
このバッテリー本体にはUSB type-Aのポートが2つ(左の2つ)と、type-Cポート(一番右のもの)が1つ設けられており、type-Cポートの出力は単体で60W。これに対してパソコンに必要なのは45Wなので、電力は十分足りています。
モバイルバッテリーのW(ワット)数表記の注意点
モバイルバッテリーの商品説明内容で気を付けないといけないのが、このW(ワット)数の表記。
ポートがいくつか設けられているバッテリーの場合、それぞれのポートのW数が決まっており、その合計数で「最大○○W」と表記されている場合があります。
今回のケースで言うと、使おうとしているUSB type-Cのポート単体での出力が最低でも45W無いと電力不足となり、パソコンが充電が出来ません。
幸いこのバッテリーはUSB type-Cのポート単体で60Wの電力供給が可能であるということが商品説明に書かれていたため、購入に至りました。(ちなみにUSB type-Aポートは、2つ合計で15W出力となっているようです。)
このように、全ポート合計のW数の数字が大きくても、実際に使用するポート単体のW数が必要量を満たせていないと使えませんので気を付けてください。
実際にパソコンに接続して使用してみる
付属のUSB type-Cケーブルを使用してバッテリーとパソコンを接続します。
接続をするとバッテリー側のインジケーターが発光します。
8個のLEDランプがバッテリーの残量を示しており、時間が経つにつれ、1つずつ消灯していきます。
今回検証に使用したノートパソコンがHPのProBook 650 G4という機種で、バッテリーの電力容量は48Wh、サイズは15.6インチのもの。
ディスプレイの輝度を50%の状態にし、電源に接続しない状態で5時間使用したところでパソコンのバッテリーの残量が10%になったため、このタイミングでAnker PowerCore III Elite 25600 60Wを接続。
約2時間ほどでパソコンのバッテリー残量が満タンになり、モバイルバッテリー側は残り2メモリ(発光しているLEDの個数)でした。
パソコンからモバイルバッテリーを外し、モバイルバッテリーの残量でiPhone8(バッテリー残30%)を充電しましたが、そこからは1メモリも消えることなく、iPhone8を満充電することが出来ました。
バッテリーの電力容量を知る
ちなみにバッテリーの電力容量Wh(ワットアワー)は下記の公式で求められます。
Wh = V(電圧)× mAh(バッテリー容量)÷ 1000
リチウムイオン電池であれば電圧は3.7Vと決まっているようですので、今回のモバイルバッテリーのWhを計算してみると、次のようになります。
3.7 × 25600 ÷ 1000 = 94.72Wh
モバイルバッテリーは、実際に使える容量は表示されている数値の6~7割程度と言われています。
この点を考慮し、例えば6割程度だとすると、94.72 × 0.6 = 56.832Wh
ノートパソコン側のバッテリーが48Whだったので、このモバイルバッテリーで満充電した際の残りが2メモリになるというのも理解ができます。
Anker PowerCore III Elite 25600 60Wをお勧めする理由
サイズで言えば、スマホ用のモバイルバッテリーよりはさすがに大きいと感じるものの、個人的には持ち運びに不便を感じるようなサイズ感ではないという感想です。
15.6インチのノートパソコンとのサイズ比較はこのような感じ。
上記の通り、USB Power Deliveryに対応したノートパソコンであれば、パソコンのバッテリーの残量がほぼ無い状態からでも、1回以上のフル充電が可能です。
それに加え、この商品にはAnker社独自の技術「PowerIQ」という急速充電の技術に対応した「PowerPort III 65W Pod」という急速充電器まで付いています。
例えばアマゾンなどで売られている様々なメーカーのモバイルバッテリーを見ていると分かりますが、バッテリー本体とUSBケーブルのみのセットがほとんど。
急速充電器までセットになっていることで、バッテリー自体の充電も高速(約3時間)で行え、またコンセントに差し込んだ急速充電器からUSB type-Cケーブルを使用して直接パソコンに電力を供給することも可能です。
急速充電器だけでも数千円はするものなので、同梱されているのは大変価値があります。
また、「低電流モード」も搭載されているため、ワイヤレスイヤホン等の小型電子機器やウェアラブル機器、卓上の小型LEDライトなどを接続した際にも適切な電流で充電することができます。
「低電流モード」が搭載されていないモバイルバッテリーだと、電力量の少ない製品を接続した際にバッテリーからの電力供給がストップしてしまうということがあるため、このモードが搭載されているのはありがたいです。
この製品で1点ネックになることと言えば、付属のUSB type-Cケーブルの長さ。
長さが60cmのため、バッテリーに接続して使用する場合は特に大きな問題はありませんが、急速充電器と接続してコンセントから電力を得たい場合、そのコンセントの位置が重要になってきます。
例えばイスに座って机でパソコンを使用する場合に、コンセントが足元にあるとパソコンまでケーブルが届きません。
この場合は別売りの、より長いケーブルを購入する必要があります。
ケーブルもUSB type-Cであれば何でも良いわけではなく、下記のようなUSB Power Deliveryに対応したものを選ばないといけません。
テレワークでのネット環境の確保(番外編)
パソコンの電源に関しては今回のモバイルバッテリーを用意することで解決出来ました。
もう一つの大切な要素。それがインターネット環境をどう確保するか?です。
これに関しては公衆の無線LANを使用するのもの一つの手ですが、セキュリティ面に不安があったり、利用出来る場所が限定されてしまいます。
都合よくその場に無線LANが飛んでるとも限らないですしね。
そのため、インターネット環境については手持ちのスマホを無線LANルーターとして使用する「テザリング」が最も有効な手段だと思います。
いよいよ大手携帯会社も通信量が大容量の格安プランを打ち出してきました。
通信量が20GBで足並みが揃っていますが、これだけのギガ数があれば毎日テザリングでつないでいても問題ないのではないでしょうか。
ちなみに、先日zoomで通信料をどの程度消費しているのかを確認してみると、5人参加(それぞれ映像+音声)で1時間ミーティングを行った際で500MB程度でした。
ほぼ毎日1時間程度のzoomミーティングが入ったとしても、1か月の平日の日数を約20日とすれば、それだけで10GBの消費。残り10GBあるので、仕事のメイン作業がメールやホームページの閲覧程度なのであれば十分足りそうです。
この機会にスマホのプラン、キャリアの見直しも行ってはいかがでしょうか。
個人的にオススメなのがau傘下のUQモバイル。
電波の品質に不満が無いのは前提としても、「くりこしプランM」が通信容量15GBで2,728円。これに通話オプションの「かけ放題(10分/回)」を770円で付けて、合計3,498円。
ビジネスシーンでの電話(通話)がすべてLINEなどで済ませられることは稀だと思います。
かといって5分の無料通話ではオーバーすることもしばしば。
そう考えると、このたびのドコモが打ち出すアハモ(通信容量20GB、5分間の無料通話付きで2,970円)では通話料の部分で不安が残る、と言う方には上記のUQモバイルのプランの組み合わせが心強いと思います。
最後に
モバイルバッテリーによるノートパソコンの電源確保と、スマホのテザリングによるネット環境の組み合わせにより、場所を選ばないスタイルでの仕事が可能となります。
テレワークの可能性を広げたい、でもパソコンの電源はどうしようと考えられていた方、是非モバイルバッテリーを検討してみてください。
価格も比較的安価ですので、一つ持っているだけで「1日程度であれば屋外での仕事も可能」と思えると、精神的な安定感も違ってきて、仕事の場所選びにむしろワクワクしてくるのではないでしょうか。
ちなみに我が家では車のラゲッジルームに少し手を加え、パソコン用のデスクとしても利用可能なボードを設置しています。(下記ページ参照)
今回紹介したモバイルバッテリーがあるので、気分転換に車で少し出かけて、そこで仕事をするということも可能ですね。
カングーのトノボードを自作。車中泊時の子供用ベッドと、アウトドアテーブル/ベンチ兼用の仕様に。
自身が購入したのはこの上↑の商品ですが、USB type-Cポートからの出力がさらにもう一段階W数の高いもの(87W)も発売されています。それがこちら↓
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